
前田 龍央さん|写真館オーナー/フリーカメラマン支援コミュニティ「Hinome」主宰
1980年、福井県福井市生まれ。日本写真映像専門学校(大阪)卒業後、2004年に大阪で写真ギャラリー「aura cross」をオープン。学生やフリーカメラマンの作品発表の場を提供し、写真家・浅田政志氏の代表作「浅田家」を初個展から5年間継続開催するなど、ギャラリーディレクターとして活動。写真集出版のサポートを経て閉廊後、2009年に地元・福井へ戻り、雑誌や広告撮影を中心にフリーで活動。一時はウェディングフォトスタジオ勤務で“人を撮る楽しさ”を再確認し、2014年「AURACROSS」を再スタート。2016年には家族写真・記念写真に特化した写真館ブランド「Dot.Graph(https://dotgraph.info/)」を立ち上げ、地域密着型の撮影スタイルを確立。現在は写真館運営と並行し、地域のカメラマンを応援するオンラインコミュニティ「Hinome(https://hinome-community.com/)」を主宰している。
1. プロジェクトのきっかけ
渡辺(リソグラ): まずは旧システムの課題を教えてください。
前田さん: 既製の予約ツールをサイトに埋め込んでいましたが、11 時枠を押さえると、他のカメラマンの11時予約枠も埋まってしまう仕様になっていました。1日に撮影できる件数が大幅に減り機会損失が出ていました。複数人のカメラマンが所属しているからこその課題で、あまり適したサービスもありませんでした。
そこで、「予約ツールを新しくしよう」というのが、プロジェクトの出発点ですね。
2. “ただの予約ツールでは面白くない”
渡辺:そんな中で、カメラマンならではの「家族起点の予約管理ツール」「カメラマンの独立支援のためのコンサルティングサービスといったプロジェクトに広がったのはなぜでしょうか?
前田さん: 同友会つながりで杉山さん(株式会社リソグラ・代表)に相談したところ、「騙されました!」笑
上記のような困りごとを相談していた時に、「それって他社も同じように困っていて、サービスとして横展開できるんじゃないですか?」と提案いただき、それが決め手ですかね。
やるとなってからは、「なぜ、1写真スタジオが、予約ツールを新しく作るのか」議論を重ねて、「家族単位での顧客管理」という今のコンセプトができました。
さらに、「これって、独立支援にも有効では?」と結論が出ました。つまり、家族単位で管理することで、しっかり追客でき、集客のサポートが可能になるので、このシステムがあれば、独立の支援もでき「隙間時間を本業にする」という自分が興味のあるテーマへの繋がりも見えたのです。
渡辺: 自分も今でも興奮したことを覚えています。色々とお話を伺う中で、前田さんより「その人に最適化された営業だったら、感謝される」という話が出てきました。この最適化のためにできることが、「家族単位での顧客管理」でしたね。
前田さん:そうでしたね!弟さんを撮影するときに、以前撮影したお姉ちゃんの話をするなど、撮影自体のクオリティを上げることにもつながります。また、ご家族の誕生日なども合わせて記録しておくことで、記念日のときには撮影をおすすめできます。

3. 50万円でバージョン1をリリース
渡辺:Phase 1では、予算50万円・2か月で、手元の課題である「予約システムの不具合」に対応するべく、「予約枠最適化+サイト埋め込み」を実装しました。データベースは最低限にし、将来の拡張を見据えた上で開発しております。
4. 機能追加と補助金採択
前田さん: 次に実装したのが家族データベース機能です。撮影ごとにカルテ(撮影記録)を入力しておき、家族の繋がり管理や顧客検索との紐づけを行いました。

渡辺:この顧客検索も、カメラマンならではでしたよね。「今月に誕生日の人は誰か」「次の4月に小学校に入学する子は?」といった、撮影のきっかけとなるような検索を行えるようにしております。
前田さん:今後も検索結果に出てきたお客様のメールアドレスをダウンロードできる・お客様ごとのLTV(顧客生涯価値)を記録できるようにするなど、やり始めると、どこまでも拡張したくなります!
渡辺: この追加開発費は収益力向上補助金で採択取得でき、自己負担を抑えられるようにしました。
5. “普通の予約システムではない”ポイント

6. コミュニティづくりとこれから
渡辺:ここからは、コミュニティ作りも含めた、今後の活動について伺わせてください。
前田さん:今は「トライアル登録者」を集めている段階です。コミュニティとしては、フリーランスカメラマンの集客支援や独立支援を行うことが目的です。
地方ならではのフリーランスカメラマンの在り方をサポートしていきたいと考えています。